ユメが基地を訪れると、ナイトシェードとロビー、モーがいた。
「やあユメ。会いたかったよ」
 ナイトシェードは言って、ユメに近づいた。「早速だけど昨日のお返し」と頬にそっと口付ける。ユメはきょとんとした。
「キス……してくれたの?」
「うん。ボクからの親愛の気持ち。受け取ってくれた?」
「そっか、私が指先にキスしたから……」
「そう、だからお返し」
「ありがとう。嬉しいよ」
 ユメは思わず頬を手で包んだ。なんだか顔が火照ってしまいそうだ。
「お熱いねぇ、おふたりさん」
 モーが楽しそうに言ってロビーと笑う。ユメは照れた笑いをこぼした。
「さあ座って」とナイトシェードが椅子を引く。「今日は手のサイズの測定に協力してもらいたいんだけどいいかい?」
「手? いいよ」
 ユメが差し出すと、ナイトシェードはメジャーで手首の太さや手の長さ、指周りの大きさなどを手際よく測った。まさか指輪でもプレゼントしてくれるのだろうかとユメはドキドキした。
「なんのために測ったの?」
「聞きたい?」
 ナイトシェードはいたずらっぽく笑った。
「防犯用グローブを作ろうと思ってるんだ。いつもボクが守ってあげられるとは限らないから」
「防犯用グローブ?」
「ビームが出るんだ」
「ええっ!?」
 ユメの反応を見たナイトシェードは「あ、火炎放射のほうがいい? それとも電撃?」と首を傾げた。
「そんな大それた物使いこなせるかなぁ……」
「物騒じゃない?」と、モーが指摘する。
「ユメに手を出す奴は痛い目見たほうがいいんだ」
「ナイトシェードはユメのことになると過激だね」
 ロビーが面白そうに言う。
「そうかな? いつもどおりだよ」
「やっぱり、それだけ大切な人だってことだよね。愛されてるね、ユメ」
「そんな……照れちゃうな」
「それじゃあ、愛の証であるグローブを受け取ってくれるよね?」
 まっすぐな目で見つめてくるナイトシェードを前に、ユメは頷くしかなかった。

愛の手袋