「食べたい時に食べるのが一番美味しいの」
ユメは言った。手にはしかと棒アイスが握られている。バニラアイスをチョコでコーティングしたよくある商品である。
ほどよい甘さとパリパリの食感が楽しめるので、ユメはしばしば購入する。
「太るよ」と、そっけなく言い渡す雲雀。彼がそう言うのもそのはず、ふたりは先ほど夕食を済ませたばかりなのだ。しかも、ティラミス付きの。
ユメ曰く、ティラミスを食べたらアイスも食べたくなったとのこと。
「太っても、私のこと愛してくれるでしょ?」
半分ふざけて、半分期待を込めて尋ねてみる。
「努力はするけど、保障はできない」
予想を裏切らない雲雀の反応に、ユメは笑ってしまった。
「私は恭弥が三重苦のおじさんになっても付いて行くから、安心して」
「僕はそんなへまはしない」
「わかっておりますとも」
「ところで三重苦ってなんだっけ?ハゲとメタボと……」
「加齢臭?」
「うーん……老眼とか?」
「もう冴えない中年でいることそのものじゃない」
他愛もない話