「あれ? とろろこんぶがない」
「あの綿あめみたいなやつか? 俺様が全部食っちまった」
「ええっ! あれがないと困るんだけどなー。…んっ? かまぼこも減ってる…」
「ちょうどいい、両方買ってこい」
「食べた人が買ってきなさい! 雪積もってるから車じゃ大変だし」
「アー、俺様は居間の大掃除すっから」
「そう言ってビーコンさんにやらせるんでしょ。わかってるのよその手は」
「仕方ないなあ…」

「えー、俺ー?」
「お願いお願い! あとで体洗うの手伝うから」
(!)

「日陰のヘアピンカーブとか地獄でしかないよね」
「どうすんだ…これ。鏡みたいだぞ」
「行くしかないよね」
「行くしかないのか」
「だってこの道が一番近いんだもん」
「そうか」
「そーっとね、そーっと」
「そー……」
「いいよ、良い調子」
「おわっ! ハンドル取られたッ!」
「おお落ち着いてブレークダウン! 轍! 轍を走ろう!」
「わだちってなんだ!」
「前の車のタイヤの跡!」
「……ふー」
「怖かった…」
「雪まじこえー」
「スタッドレス履いててこれだもんねー」
「お、この先は融けてんぞ」
「さっすが国道、これで勝つる!」

アイスバーン