アークボルト北西の海底にある宝物庫にレック一行はいた。ここには宝を守る番人がいて、以前彼らにあえなく敗北したのち、修行を積んで戻ってきたのだった。
 レックとアモス、ユメとバーバラは船から降りて歩き出した。
「いいかい? 作戦どおりに行こう」
 レックの言葉に三人は神妙に頷き、番人の前で立ち止まった。
「もしこの先の宝が欲しいなら、この私を倒してゆくがいい」
「ああ。挑戦するよ!」
 戦闘が始まった。対するはキラーマジンガ二体。
 まずはアモスがパーティーの前に躍り出て仁王立ちをした。その彼にユメがスカラをかける。星ふる腕輪を装備していたので間に合ったのだった。
 素早いキラーマジンガたちが二回ずつ攻撃を繰り出す。すべてアモスが受け止めるが、スカラで強化しているとはいえさすがにつらそうだ。しかし戦闘不能は回避できた。
 その後ろで準備していたバーバラがマダンテを唱える。すべての魔力を解き放ち、まばゆい大爆発がキラーマジンガたちを包んだ。
 甚大なダメージによろめいたところを、レックがはやぶさ斬りで追い討ちをかける。一体が倒れ、すかさずもう一体に攻撃をした。二体のキラーマジンガが音を立てて壊れた。
「ふう……なんとかなったな」
 レックが汗をぬぐう。バーバラがスカートの埃を払って、「あたしのマダンテが効いたかな?」と言った。
「はい、さすがのダメージでしたよ!」
 快活に褒めるアモスに、ユメはベホマを唱えた。見るも痛々しい生傷が癒えていく。
「すみません」
「なぜ謝るんですか? ユメさん」
「もっと私たちに体力があれば、かばってもらわなくても済むのに」
 ユメはうつむいた。
「アモスさんの仁王立ちに頼らざるを得ない私の非力さが憎いです」
「気にしないでください。みなさんを守って戦うことが私の幸せなんですから」
 アモスは微笑んだ。
「特にユメさん、あなたを思うと――」
 アモスの声はレックとバーバラの歓声にかき消された。守られていた宝箱を開けたらしい。レックがアイテムにインパスを唱えた。
「これはグリンガムのムチみたいだね。敵一グループに攻撃ができる。装備できるのはバーバラだけみたいだ」
「じゃあ早速装備しちゃうね! ふふ、どうかな?」
 ムチを振るう姿はなかなか様になっている。ユメは拍手を送った。
「よかったね、バーバラ。もうひとつの宝箱は何だった?」
「ちいさなメダルだよ」
「メダルが貯まってきたし、そろそろメダル王の城へ行こうか」
 レックの言葉に三人は頷き、船へと歩き出した。

沈んだ秘宝