三時になるころ私とサウンドウェーブはどちらともなくテーブルに集まった。
「さて、何食べよう」
 菓子の入った缶を開けようとすると、青い腕が止めに入った。
 彼は自分で用意したらしい箱入りポッキーを触手で掴んでいた。私の目の前に持ってきて印籠のように見せつける。
「くれるの?」
 思わず受け取る手を出しながら訊けば、ふるふると首を横に振った。
「えっ」
 私の驚愕をよそにサウンドウェーブは箱を開け、小袋を取り出した。
 そうか、包装を取ってくれるのか。親切なことだ。
 サウンドウェーブはチョコのかかっていない所を指でつまんで、私に差し出した。
「ありがとう」
 手を伸ばせば、彼はまた首を横に振る。
 脳裏に疑問符が浮かんだのもつかの間、急なときめきが私を襲った。
 ポッキーですることといったらアレしかない。そう、ポッキーゲームだ!
「ま、まさかバイザーを……」
 ドキドキしながら喋りかけた私の口に、そっとポッキーが差し込まれた。
 反射的に咀嚼した。サクッと甘くておいしい。ポッキーの終わりに触れた指が、一瞬だけひやりとした。
 そしてサウンドウェーブはもう一本差し出した。
(え、なにこれ?)
 そう思いながらサクサクと食べた。
(私、餌付けされてる?)
 疑問に思いつつも次々と与えられる食感と甘味を楽しんだ。
 結局、無言の給餌は一袋を空けるまで続いた。

ポッキーの日