「はあ……」
「どうした? ため息なんかついてよ」
「いいよねブレークダウンは。ムキムキで。私も腹筋割りたいよ」
「笑えば鍛えられるって聞いたことがあるぞ」
「ほんと? じゃあなんか面白いことして」
「え! いきなり!?」
「ものまねでも一発ギャグでもなんでもいいよ!」
「なんの話をしてるんです?」
「ユメが腹筋を鍛えたいんだとさ」
「ふうん。それなら私にいい考えがありますよ」
「嫌な予感しかしないんだが」
「つり橋です」
「つり橋? ……を渡るの?」
「いいえ、室内でできる運動です。楽しいトレーニングですから、やみつきになること間違いなし」
「へえー、どんなの?」
「わかった! つり橋の映像を見ながら上体起こしすんだな?」
「全然違う」
「じゃあつり橋に使う丸太を腹筋ローラーみてぇに転がして――」
「きみちょっと黙ってて」
「もったいぶらないで教えてよ」
「ふふ、では私の部屋に行きましょうか。手取り足取り教えて差し上げます」
「あっサウンドウェーブが飛んできた」
「なんとタイミングの悪い……。いいですか、ユメ。腹筋を鍛えたければ後で私の所に来るんですよ。ひとりでね」
「う、うん。わかった」
「ドライブに行ってきます。アデュー!」
「あでゅー」

「“ユメ”“いかのおすし”」
「お寿司食べたいの?」
「……」
「違った?」
「“行かない”“乗らない”“大声を出す”“すぐ逃げる”“知らせる”」
「ああ、標語ね! なんでまた?」
「“さっき”“危なかった”」
「ブレークダウンとノックアウトと話してただけだよ」
「“闇医者”“注意すべし”」
「どうして?」
「…………"それは言えない"」

内緒の筋トレ