今日はディスポの家でおうちデートだ。ディスポとユメは一緒に作った料理に舌鼓を打ったあと、ソファに並んで映画を見始めた。
酒を片手にアクションシーンを眺め、ギャグシーンではツッコミを入れつつ笑い合う。どれも家ならではの楽しみだ。
そして映画は終盤にさしかかり、ヒーローとヒロインのキスシーンになった。
「ディスポくん」
「ん?」
ユメはディスポに触れるだけのキスをした。
「珍しいな。ユメちゃんからするなんて」
「うん。映画を観てたらしたくなっちゃった」
ほんのりと頬を染める様はなんとも可愛らしい。
さて映画を巻き戻そうとしたところ、
「ディスポくんの体って、細いのにたくましくてカッコいいね……」
ユメはディスポの胸元を人差し指でなぞった。
「もっと、触ってもいい……?」
「え、いいけど……」
再び口づけられ、やんわりと胸板を押される。ソファの肘掛けに倒れかかったディスポは、手にしていたリモコンを取り落とした。
キスはアルコールのにおいがする。ディスポの耳はいつもよりユメの脈が早いことを聴き取った。間違いなく酔っている。
「厚みのある大胸筋……贅肉を削ぎ落とした腹筋……引き締まった太もも……。どれも素敵だな」
そう言いながらユメは上から下へと、股間スレスレのところを時間をかけて撫でていく。
体中が熱くなるような感覚にディスポは息を切らした。
「ディスポくんも私の体、好き?」
「き、嫌いなわけないさ」
「じゃあ、触ってみて」
思わずつばを飲む。
ユメはディスポの手を取り、胸のふくらみに導いた。今度はユメが下になる番だった。
「柔らかい……。どこもかしこもふわふわだ」
これまでしっかりと見るのもはばかってきたプライベートゾーンを愛でる。胸をもみ、腹をさすった手がさらに下へ行こうとしたとき、ディスポは我に返った。
「ここまでにしよう、ユメちゃん。これ以上は……」
「そう……? 私は、ディスポくんとならいいよ」
ぐらりと理性が揺らぐ。据え膳食わぬは男の恥だ。いや、でも酒の勢いで行為に至るなんて。
「今日は酒を飲んでるだろ? キミを大切にしたいから、また今度にしないか?」
「……挿れる以外ならしてもいい?」
熱を含んだユメの言葉に圧され、頷いてしまう。
「ね、ここも触って……」
ユメはディスポの手を自分の服の間に滑り込ませ、ショーツに押し当てた。
触るだけ、触るだけだと心の中で唱えながら陰部を探る。男のものと違ってややわかりにくいが、股の中心に柔らかな突起があり、そこをこすってみるとユメから甘い吐息がもれた。
もっと、とねだられたディスポはたまらなくなり、口をふさぐように舌を絡めた。
その最中で、突如下半身に走る快感に体を跳ねさせた。お互いの歯がぶつかる。
とっくに存在を主張していた局部をユメが撫でていたのだった。
「ッ、ユメちゃ……」
「嫌?」
「嫌じゃないけど――」
この先の行為を我慢できるか怪しい。というか、下手をすればこのまま出てしまいそうだ。
ディスポはユメの肩をつかんだ。
「オレの理性がもう限界なんだ。この続きは必ずする。だから……」
「わかった。お楽しみは取っておくね」
ユメを送り届けて、ディスポは再びソファに沈み込んだ。
頭を占めるのは先ほどの光景。再び昂ってくる熱を己の手で慰めた。
ひとまずはユメの貞操を守れた。
はたしてそうだろうか。妄想の中では乱れたユメを犯してしまったのだから。
ディスポは長いため息を吐いて天を仰いだ。
酔態