午後の会議を終えたプライド・トルーパーズのメンバーたちは、会議室をあとにし始めた。
そのとき誰かの携帯が鳴ったかと思うと、ディスポがひときわ明るい声を出した。
「よお! …………今ちょうど終わったところさ」
にこにこしだすディスポを見て、「彼女だな」とクンシーが言う。
「そのようね」
ココットは興味をそそられながらディスポの様子を見守った。
緩んだ表情からは、隠しきれない幸福感があふれ出ている。あたりに花が浮かんでいる感じすらする。
しばらく前にトッポの紹介で彼女ができたとは聞いていたが、どうやら恋路は順調らしい。
「ああ。じゃあな」
ココットとクンシーは通話を終えたディスポに近づいた。
「電話の相手……彼女でしょ?」
「へへっ、わかっちまうか?」
「幸せなオーラが出てたぞ」
ニュースを見たんだとさ、とディスポは言った。今日の午前中に悪党を捕まえた活躍を彼女が知ったようだ。
「カッコいいなんて皆から言われ慣れてるはずなのに、ユメちゃんに言われると、なんか違うんだよな」
「ふふ、のろけてくれるじゃない」
「それだけ特別な存在ってことか」
頷くクンシーの横で、ココットは身を乗り出した。
「ねえ、どんな子なの?」
「ん? 穏やかで寛容で……ああ、そういえばこの前撮った写真があるぞ」
そう言うと携帯を操作して一枚の写真を表示した。
ディスポが肩を抱き寄せているのは、黄色い花柄のワンピースを着た女性だ。両手で小さな鞄を提げて、はにかんでいる。
「まあ。この子がトッポの秘蔵っ子ね」
「かわいいな」
「だろー? クンシーにもユメちゃんの魅力がわかるか! オレはもう、目に入れても痛くないくらいだぜ」
「相当好きなのね」ココットは笑った。「それで? いつ結婚するの?」
「一、二年以内にはできたらと考えているんだがな」
「もちろんオレたちを招待してくれるんだよな?」
「メンバー全員呼ぶつもりさ。まあ……ディスポ様の今後に期待してくれ」
快活に笑ったディスポは「じゃ、お疲れ!」と去っていった。
噂の彼女